銀座の店舗賃料高止まり – 日本経済新聞



 商業の一等地、東京・銀座の店舗賃料が高止まりしている。中心部で空室が極めて少ない状況が続く中、2017年4月に開業した大型施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」が出店需要を吸収し、最高値圏で膠着した。中国人観光客の「爆買い」一服を受けて宝飾品やファッションなどの高級ブランドの出店需要が一時期に比べて鈍いものの、2年超にわたって高値が続いている。

「ギンザシックス」には多くの高級ブランドが出店している

「ギンザシックス」には多くの高級ブランドが出店している

 不動産サービス大手CBRE(東京・千代田)によると、中央通りなど銀座中心部の1階店舗を貸し出す場合の想定賃料の上限は9月末時点で3.3平方メートル当たり40万円。9四半期連続で横ばいとなった。

 銀座中心部の1階店舗の空室率は9月末時点で0.8%と6月末から0.2ポイント低下。昨年末と比べると2倍の水準に上昇しているが、それでも東京都心部のオフィスビルの空室率(3%強)に比べると極めて低い。

 特に集客力が高い3~6丁目は空き店舗がほとんどなく、新規施設の供給も限られる。読売新聞東京本社と三井不動産が銀座3丁目で開発中の「マロニエ×並木 読売銀座プロジェクト」(19年春開業予定)は無印良品の旗艦店の入居が既に決定している。

 一方で16年3月に「東急プラザ銀座」、今年4月にギンザシックスと大型施設が2年連続で開業。特にギンザシックスは「銀座では例がないほどの大規模施設だけに、外国の高級ブランドの出店需要をかなり吸収した」(不動産サービス大手JLLの岩永直子リサーチ事業部マネージャー)という。

 結果として新たに銀座への進出を計画する高級ブランドは以前ほど多くないようだ。テナントが店舗を選別する姿勢も強まっている。通行量が少ない場所や、両隣のビルのテナントのブランド力が高くない店舗は、成約に時間がかかりやすいとの指摘は多い。

 訪日外国人客の消費動向も高級ブランドの出店意欲に影を落とす。観光庁によると、7~9月の訪日外国人1人当たりの旅行支出は16万5412円。2年前のピークと比べて1割少ない。来日する人数の増加で支出総額は拡大傾向だが、中国人観光客の爆買いが落ち着き、1人あたり単価は伸び悩む。

 一方で賃料が今後、一段と上昇するとの見方も根強い。10月以降に日経平均株価が大きく上昇したのを背景に都内の一部店舗で高額な腕時計の売れ行きが伸びた。米国の利上げで円相場が下落すれば、訪日客の購買単価が再び上がる期待も高まる。「来年以降は高級ブランドの出店意欲が再び高まる可能性がある」(CBREの栗栖郁アソシエイトディレクター)。消費動向が改善する動きが出てくれば店舗賃料も強含む公算が大きい。

 銀座ではパナソニックが美容家電を体験できる店舗を9月に開業したほか、地方自治体などが運営するアンテナショップの出店の引き合いも増えているという。高級ブランド以外の需要も店舗賃料を下支えしそうだ。

 東京・銀座の店舗賃料が最高値圏で推移する一方、大阪中心部は店舗賃料が下がる動きが出ている。大阪の賃料上昇をけん引してきたドラッグストアの出店鈍化が背景にあるようだ。

 CBREによると、心斎橋で1階店舗を貸し出す際の想定賃料の上限は、9月末時点で3.3平方メートル当たり30万円と5四半期連続で横ばい。一方で賃料の下限は15万円と6月末から5万円下がった。

 訪日客の増加に伴って大手ドラッグストアの出店需要が大阪中心部で高まり、店舗需給を引き締めてきた。過去数年で店舗数が大きく増えたため、足元では「賃料を押し上げるほどの需要の強さではなくなってきた」(CBRE)。時計を除く高級ブランドの出店意欲も大阪は鈍いといい、今後も賃料が弱含む可能性がありそうだ。

(商品部 蛭田和也)

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p class=”cmn-editable_right”>[日経産業新聞 2017年12月1日付]




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