トップリーグトライ王・山田章仁、頂点へ「あうんの呼吸で」と自信。 – RUGBY REPUBLIC(ラグビーリパブリック)




今季リーグ戦10試合出場で最多の12トライを挙げた山田章仁(撮影:松本かおり)

 ラグビーを愛するファンは、一様に「あれ、ヤマダだよな?」と戸惑っただろう。

 1月7日、大学選手権決勝戦があった東京・秩父宮ラグビー場。メインスタンドにいた帝京大の岩出雅之監督を捉えるテレビ画面に、慶大出身でパナソニックの山田章仁が映り込んでいた。そのシーンは、会場設置のビジョンにも流れた。同じスポーツブランドから用具提供を受ける縁で、特等席に招かれたようだ。

 結局、帝京大が明大を21−20で制し9連覇を達成。息詰まる熱戦を生観戦した山田は、13日に同じ場所で日本選手権兼トップリーグプレーオフの決勝戦に挑む。

 試合2日前には、本拠地の群馬・パナソニックグラウンドで本格調整。着替えを済ませたところで記者団に囲まれ、まずは学生王者となった帝京大の話題に触れる。

 来季は10連覇に向け助監督就任かと問われれば、「大きなタイトルは嫌いじゃないので…」。明らかに冗談とわかる口調で応じる。「残念ながら、ないです」。サービス精神は欠かさない。

 名物監督が決戦の指揮を執るのを至近距離で見て、学べたことはあったか。大外のWTBでプレーする32歳はそう聞かれ、今後の自分に置き換えて話した。

「80分を通してしっかり戦うということで、監督も大きな器でゲームを見守っていました。僕も、そういう観点から試合を観られればと思います」

 13日には、日本選手権を兼ねたトップリーグプレーオフの決勝戦に挑む。対する昨季王者のサントリーに「シンプルに強い。バリエーションも多いしうまさと強さもある」と敬意を表すが、自軍の充実ぶりにも手ごたえをつかんでいる。

 今季はリーグ戦で12度もインゴールを割り、最多トライ賞を獲得。防御の裏に蹴られたキックを拾ったり、抜け出した味方に並走したり。「どのチームもディフェンスがしっかりしてきていて、なかなかギャップがない」という国内の潮流にも対応し、チャンスを仕留めてきた。

 ファイナルの舞台となる秩父宮は、芝の状態が劣化して走りにくさなども指摘される。しかし、日本代表23キャップ(国際真剣勝負=テストマッチへの出場数)を持つ山田は「そこは気にならないですね。あきらめてます」。地上で弾むボールの行方なども注視し、貴重なスコアをたたき出したいとする。

「集中して自分たちのラグビーができれば、問題ない。今季はどのチームもコミュニケーションが大事になってきている。あうんの呼吸です。ずっとやって来たメンバーも多い。今度FBに入る藤田(慶和)も在籍2年目ですけど、代表で長くやっている」

 ちなみに大学選手権で最も印象に残ったのは、後半20分に帝京大が勝ち越しトライを挙げたシーンだという。14−20と6点差を追う帝京大が、自陣ゴール前で得たペナルティキックから一気に攻め抜いた場面だ。

「自陣ゴール前のペナルティからの速攻からは、学ぶべきものが多かったですね。どのレベルでも、あそこで判断ができる選手、反応した選手がいるのは素晴らしい。意思統一ができていました」

 会話の流れで、チームの意思統一について聞かれる。「ばっちりです」。では、奥様との意思統一は。「コミュニケーションが大事ですね。あうんの呼吸まではいっていませんが」。約7分にわたる即席の立ち話にも、適切なオチを作る。13日も、自らの手で勝負を決めるか。

(文:向 風見也)




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