ジェットコースターのように過ぎ去ったバイエルンの2017年…監督交代で見事な復活 – Goal.com



■激動の一年に

まるでジェットコースターのような2017年となった。常に安定した戦いを続けてきたバイエルン・ミュンヘンにとって例外と言える年となったことは間違いない。

カルロ・アンチェロッティ前監督初年度となった昨シーズンは、ブンデスリーガこそ制したものの、DFBポカールではドルトムントの前に後塵を拝し、チャンピオンズリーグではベスト8でレアル・マドリーの前に敗れ去った。

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期待外れなシーズンと呼ぶこともできるが、『Goal』の独占インタビューに応じたミュラーに言わせれば、「運が足りなかったに過ぎない」のかもしれない。しかし、それはあくまでも昨季の話である。

アンチェロッティ体制となって2年目は指揮官の色が定着し、盤石の戦いを見せると考えられていた。迎えた今シーズン、開幕2試合こそ連勝を飾ったものの、第3節のホッフェンハイム戦で早くも黒星を喫すると、チャンピオンズリーグでパリ・サンジェルマンを相手に0-3と完敗し、アンチェロッティはあっさりと更迭されたのだった。

それから、噴出したのは選手たちの不満。重用されなかったジェローム・ボアテングが練習の強度不足を指摘したのを皮切りに、次々と“告発”が行われた。挙句、アリエン・ロッベンは「ユースでプレーする息子の練習のほうがまだ激しい」と皮肉たっぷりで前指揮官に否定的なコメントを残している。

バイエルンの不調が練習によるものかは明らかではないが、ピッチ上を見れば推測を立てることはできる。顕著だったのは攻撃→守備への切り替え。ジョゼップ・グアルディオラが指揮している時代からカウンターへの脆さは露呈していたが、アンチェロッティ政権となってより大きな弱点として顕在化された。ポジショニングが徹底されていないことに加え、取られた際にプレスの強度が高まらないため、カウンターは毎度のように決定的なピンチへとすり替わる。実際、アンチェロッティ最後の試合となったパリ・サンジェルマン戦の3失点もトランジションの遅さから生まれた。

■監督交代で風向きが変わる

この“クライシス”を切り抜けるべく後を託されたのがユップ・ハインケス。2013年に3冠を獲得し、有終の美を飾って監督業を引退した72歳が現場に戻ってきたのだった。4年もの間“隠居”暮らしだったわけだが、就任以降怒涛の公式戦9連勝(PK勝利含む)。序盤は好調をキープしていたドルトムントが急失速したのを尻目に、前半戦が終わる頃には2位と11ポイント差を付け、早くも独走の様相を呈し、ウィンター・ブレークへと突入している。

ハインケス体制となって何かが劇的に変わったと説明することは難しい。強いて言うなら、ハードワークする姿勢が戻ってきたと言うべきか。それは2012-13シーズン、3冠を獲得し、近年最強のバイエルンの姿とも通ずるものがある。フランク・リベリやアリエン・ロッベンが全力疾走で守備に戻る姿勢こそ、チームにポジティブな影響を与えていることは疑いない。

また、ハメス・ロドリゲスやコランタン・トリッソといった前任者が熱望した逸材がハインケスの下で輝くといった皮肉な結果も出始めている。加えてキングスレー・コマン、トーマス・ミュラー、スヴェン・ウルライヒと、昨シーズンまでトップフォームを見失っていた選手たちも代わる代わるヒーローとなった。ハインケスは特別なことは何もしておらず、「信頼しているだけ」と説明する。いずれにしろ、監督交代は大成功で、全てがポジティブな方向へと動き出している。

Corentin Tolisso FC Bayern München

Kingsley Coman FC Bayern München

ブンデスリーガを早くも独走するバイエルンが狙うはビッグイヤー。パリ・サンジェルマンに次ぐ2位通過となったものの、決勝トーナメント一回戦の相手はトルコのベジクタシュ。ラウンド16からユヴェントスとトッテナム、レアル・マドリーとパリ・サンジェルマン、バルセロナとチェルシーなど強豪同士が潰し合う組み合わせが少なくないだけに、組み合わせに恵まれた結果に。さらに、DFBポカールでもすでに最大のライバル、RBライプツィヒとドルトムントを敗退に追い込んでいるため、トロフィーはそれほど遠くない位置にある。

ハインケス監督の契約は2018年夏まで。すでに後任探しは始まっており、続投の可能性はゼロに等しい。2013年3冠でサッカー界を離れた名将が、再び3冠という功績を残し、勇退することとなれば、バイエルンとハインケスにとってこれほど素晴らしい最後はないだろう。

文=平松凌

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